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ここでは着物寸法の採寸に関する話題に触れたいと思います。
最近の呉服屋さんでは、尺貫法に馴染みのないお客様にも分かりやすいようにするため、cm法で採寸する場合もあるかと思います。
ですが、実際に制作に携わる作家や職人は全て尺貫法を使って着物を制作しています。
そして、日本の尺貫法には鯨尺(くじらじゃく)と金尺(かなじゃく)の2種類があります。
着物の寸法を計るときは鯨尺を使います。1寸=約3.788cmです。
一方、金尺は建築用のL字のものさしです。1寸=約3.03cmです。(※着物では金尺は使用しません。)
着物は着る人の体格に合わせて背巾、前巾、袖丈、肩幅、繰越しなどを足したり引いたりする事で調節しています。
ふくよかな体型、細身の体型に合わせて、背巾→前巾の順に調節して行きます。
背巾、前巾では体の横巾を調節しています。一方、体の厚みは繰越しで調節しています。
そして身長によって着丈・褄下・袖丈が決まり、肩巾と腕の長さによって裄(ゆき)が決まります。
(※詳しくはこのページ最下部の着物採寸箇所の見取り図をご覧下さい。)
一例として。ふくよかな体型の場合は背巾の普通寸法「七寸五分」に対して、「七寸八分」とします。
それでもさらに足りない場合は前巾の普通寸法「六寸五分」に対して「六寸八分」と広げます。
この様に右背巾・左背巾・右前巾・左前巾を広げた場合、普通寸法より合計で「一寸ニ分(約4.5cm)」広くなります。
また、細身の体型の場合は背巾の普通寸法「七寸五分」に対して、「七寸三分」とします。
さらに狭くする場合は前巾普通寸法「六寸五分」に対して「六寸三分」とします。
この様に右背巾・左背巾・右前巾・左前巾を狭くした場合、普通寸法より合計で「八分(約3cm)」狭くなります。
着物寸法の調整について、注意をしなければならない点がございます。
それは、柄が絵羽物で描いてある振袖や留袖、訪問着などの着物は寸法に合わせて柄を描いているということです。
つまり、すでに出来上がった訪問着の背巾や前巾を後から体型に合わせて広げたり狭くした場合には
縫い目に掛っている柄(合い口)が繋がらなくなったり、寸足らずになってズレてしまいます。
下記の例をご覧下さい。
「普通体型」のA子さんに合わせた寸法で、円の柄をモチーフにした着物をお誂えすることになりました。
初めからA子さんの寸法に合わせて描いた円なので、縫い目に掛かる柄も図1のように真円に描くことができました。

ところが、この着物をA子さんよりも「ふくよかな体型」のB子さんが着ることになりました。
B子さんが着るためには、縫い目に入り込んでいた「ぬいしろ」部分を少し出して背巾を広げなくてはなりません。
ですが、無理に「ぬいしろ」を出した結果、縫い目に掛かった円は図2のような柄になってしまいました。

今度はA子さんよりも「細身の体型」のC子さんが着る事になりました。
C子さんがこの着物を着るためには縫い目の「ぬいしろ」をさらに内側に縫いこんで背巾を狭くしなければなりません。
ですが、無理に「ぬいしろ」を内側に縫いこんでしまった結果、図3のような柄になってしまいました。

このように、絵羽物である振袖や留袖、訪問着などの着物は寸法に合わせて柄を描きます。
ですから、出来上がり後に背巾や前巾を調整することは好ましくありません。
絵羽物の着物を素敵に着こなすためには着る人の寸法に合わせて柄をつけ、
お誂え・オーダーメイドすることが大前提といえます。
もし、気に入った着物が見つかったとしても、寸法がご自分に合わなかった場合には、
同じ価格で新しく寸法に合わせて図案から描き直すことが可能な
お求め先を知っていることが、着物上手のポイントです。
着物の見取り図と簡単な寸法の割り出し表をご紹介します。(※略図ですので、実際の比率として正確な着物の形ではありません。ご了承くださいませ。
また、割り出し表はあくまでも目安です。実際の採寸につきましてはご相談ください。)
| 袖丈 | 一尺三寸 (約49.24cm) 〜 一尺四寸 (約53.03cm) ※身長の約3分の1 |
|---|---|
| 袖巾 | 八寸七分 (約32.95cm)前後 |
| 肩巾 | 八寸ニ分(約31.06cm) 〜 八寸四分(約31.81cm) |
| 裄(ゆき) | 袖巾 + 肩幅 = 一尺七寸 (約64.39cm) 前後 |
| 繰り越し | 五分 (約1.89cm) 〜 八分 (約3.03cm) ※体格によって多少調整。 |
| 着丈 | 身長(cm) × 0.8〜0.83 |
| 背巾 | 七寸三分 (約27.65cm) 〜 七寸八分 (約29.54cm) 普通寸法:七寸五分 (約28.41cm) |
| 前巾 | 六寸三分 (約23.86cm) 〜 六寸八分 (約25.75cm) 普通寸法:六寸五分 (約24.62cm) |
| オクミ巾 | 四寸 (約15.15cm) |
| 褄下(つました) | 身長の約2分の1 ※上限はニ尺一寸五分 (約81.44cm) |
| 衿巾(広衿) | 三寸(約11.36cm)〜四寸(約15.15cm) |
| 身八つ口(みやつぐち) | 三寸五分 (約13.25cm) 〜 四寸 (約15.15cm) |
| オクミ下がり(剣先) | 六寸 (約22.72cm) ※年齢・体型・身長により多少調整。 |
| 衿肩あき | ニ寸ニ分 (約8.33cm) 〜 ニ寸四分 (約909cm) ※年齢や首の太さにより調整。 |
| 衿口 | 六寸 (約22.72cm) |
| 袖付け | 五寸五分 (約20.83cm) 〜 六寸 (約22.72cm) |
着物をお誂えする場合には「身長」・「腰まわり」・「背中心(首の付け根)から手首までの長さ」の3箇所を測り、
着物寸法を割り出します。
「身長」から着丈・褄下・袖丈・オクミ下がりを割り出し、
「腰まわり」から背巾、前巾、を割り出します。
「背中心(首の付け根)から手首までの長さ」からは袖巾、肩幅、裄を割り出します。
袖付、袖口、身八ツ口、衿幅、などは基本的に標準寸法を用いますが、
繰り越しやオクミ下がり、衿肩あき、などは体型によって微調整する箇所になります。
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